07/訪れは唐突に














いつかはこうなるだろうと思っていた。
だから、ウィルは特に怯えるでもなく驚くでもなく、資料室へ足を進める。
この前、ちょっとした節に、この時間にここに来るよう言われたのだ。

資料室には明かりがついていた。
しかし、通常業務は既に終わっているので、本部内にはほとんど人がいない。
後からここに入ってくる人はいないだろう。

中に入ると、そこにはもう人がいた。
以前自分にここに来るように言った人だ。


「ムーディさん、俺に何か用ですか?」


得意の陰りのない笑顔で対応する。
ムーディは傷だらけの顔をしかめるわけでもなく、表情を変えなかった。
書類の収められた棚に背をあずけたまま、動かない。


「わしが何を言いたいのかは、予想しているだろう?」


唇を僅かに動かして言った言葉は、低く響いた。
ウィルは低く笑った。
そして、ムーディの元へ歩いて行く。


が俺にとられそうだから、焦ってるんですよね」


ムーディの前でウィルは立ち止まる。
その言葉には語弊があるとムーディは思ったが、あながち間違いでもないような気がしたので、反論はしなかった。


「これで、もうあんたとが寝ることもなくなるだろ」

「――は?」


自信満々なウィルの言葉に、ムーディは間抜けな声を出した。
今まで引き締まっていた表情が緩む。
反面、ウィルはにやにやと笑む。


「何をとぼけたことを。あんたとが今までどうしてきたかなんて……」

「ちょっと、待て」


ムーディは今まで頑なに組んできた腕を少し緩めた。


「お前は――もしや、フランクの言葉を鵜呑みにしているのか?」

「あの人もとあんたはそういう関係だって、断言してたぞ」


それを疑っておらず信じ切っているウィルに、ムーディは肩の力が抜けた。
本気で信じる馬鹿がいるか。
笑い出したくなるような気持ちに襲われながらも、ムーディは何とか冷静を崩すまいとする。


「では、にはあの顔と別の顔があると思っているのか?」

「そうだろ?」

「残念だな。あの娘にはそんな甲斐性はない。ぺらっぺらの、あの薄い顔しか彼女には存在しない」


ウィルはムーディの言葉を全く信じてはいないようだった。
ムーディは親切心でそう言っているのに、心外なことだ。
本気であの娘にそんな行為をしていると信じられているのは、とても嫌な気分だった。

ムーディは大きく息を吐き、額に手を当てた。


「わしが、本当にあの娘相手に欲情していると思うのか?」

「ああ」


屈託なく言うウィルに、ムーディは呆れ果てたように深く深く溜息を吐いた。


「もう少し、自分で物事をよく考えてみろ。にそのような節があるか?」

「ないけれど、やっぱり夜は違う顔があるのかなー、というか……」

にはあの一枚しかない。
 それに、念のために言っておくが、わしがあの娘をそういう意味で女だと意識したことはない」

「どうして? だって――」

「あの娘は、風呂上り半裸で歩き回るような奴だぞ。色気の欠片もない」

「その立場、交代して下さい」

「黙れ」


ムーディの鋭い眼光に、ウィルは思わず黙った。
ウィルは訝しく思う。
今まで信じ切っていたことが、違うというのだ。

それに、目の前のムーディの様子を見ても、それを信じざるを得なかった。
目の前でムーディは、そんなことを分別なく人に広めていくフランクをなじっていた。


「誤解は、解けたか?」

「うーん……半分くらいは」

「まずはそれで良い」


仕切り直しをするように、またムーディは固く腕を組み、また棚に背をあずけた。
軽く目を閉じてから、口を開く。


「あの娘のことをお前がそういう目で見ようとするのなら、忠告しておきたいことがある」

「何ですか?」


ウィルは白々しい敬語で、笑みを浮かべている。


は異性について、そのような目で見られることに怯え、見ることを拒否している」

「だから、俺は、かなりの長い目で考えて、やっと嫌っている対象から親しい友人まで関係を良くすることが出来た。
 別に無理やり襲おうとかそういう気はないし、ゆっくり解していくつもりだけど。心配は不要ですよ」


ムーディはひとまずその言葉を受け止める。
今までの彼の行動を見ていて、それは多少は信じられるような気がしたのだ。
――問題なのは、もう一つの方だ。


「それに、あの娘は……出自に少し問題がある」

「それは、が出身校を言わないことに起因してる?」


ウィルはムーディを見据えて、また笑んだ。


「それとも、が両親の話題になると口を噤むことに起因が?
 それとも、のあのやたらにでかい魔力に起因が?」

「……なるほど」

「うん、あんたには及ばないかもしれないけど、多少はのことは把握しているつもり。
 で、まだ何か忠告しておきたいことはあるんですか?」


黙り込んだムーディに、嬉々としてウィルは話しかける。
思案したムーディは言葉を漏らす。


「もし、あの娘の腕に闇の印があったらどうする?」


奇妙な空気が流れ、奇妙な沈黙が流れた。
対し、ウィルは能天気な口調で答えた。


「納得、するかも」

「何に?」

が出身校も両親も言わないこと。それに、魔力が大きいことに」

「嫌うか?」


ウィルは顎を撫でながら考えた。
全くありえない話ではない。
いくらそれが、とても突飛な話題だとしても。


「……ちょっと驚くかもしれないけど、まあ、良いんじゃないですか。
 が死喰い人の活動に関わっているような素振りは、ゼロだし。少なくとも嫌うことはないよ」


ムーディはじっとウィルの様子を眺めていた。
この部屋にウィルが入ってきてから、ずっと品定めをしていたのだ。
今の言葉に大きな不信感を抱きつつも、彼は、の側にいることを許せる最低ランクにしがみついていると判断した。

全く信頼出来ないわけではないが、信頼に値する男ではない。
がこの男を気に入っていることもある。
今、この男を振り払えないことに苛立ちを感じるが。


「まあ、良い。言いたいことはこれだけだ。
 もし、お前が今までわしが言ってきた言葉に背く素振りをしたら、どうなるかは分かっているな?」


何と上から言葉を言う男だろうと思う。
ウィルは反抗心を抱きながらも、それを顔には出さなかった。

その代わりに。


は、あんたにとってどういう存在なんだ?」

「それをお前に言う義理はない」


ウィルは唇を噛む。
この男が今闇祓いで一番腕が立つだなんて、間違っている。


「どうしてそんなに大切にするんだよ?」

「もう一度言う。それをお前に言う義理はない」


出口へ向かうムーディに、ウィルは付きまとう。
出口の扉を掴んで引いたムーディ。
しかし、ウィルはその扉を押さえた。

ムーディは肩を落として、ウィルへ視線を向ける。


「反対に訊くが、お前はのどこが気に入った?」


ウィルは一時だけ間を置いて、笑んだ。


「多分、あんたと同じ所」

「それは奇遇だな」


奇遇だとは思ってもいない口調で、ムーディは言った。










*










クリスマスの一週間前、はウィルから聞かされた言葉に耳を疑った。


「仮面舞踏会?」

「そう、仮面舞踏会」


なんて中世趣味の悪趣味な。
はその言葉を飲み込んで、まずそれが行われることの危険性を頭に思い浮かばせた。


「仮面だなんて、参加者の素性が分からないじゃない。
 ただでさえまだ物騒な世の中なのに……純血の家が開くのよね?」

「ああ。でも、そこは魔法省にも闇の勢力にも寄らず、中立していた家だ。
 そこがまあ、かつては死喰い人だった人を招いて、戦争が終わったことをアピールしたいらしい」

「それで仮面をかけていたら意味がないじゃない」

「それがその家の先祖からの伝統らしいから、それで良いんだって」


は、手渡された招待状を見る。
クリスマスの舞踏会。
きらびやかな装飾のそれには、ドレスコードが細々と書かれている。


「この家の息子と学生時代の友達で」

「なるほど。闇祓いと友人になるとは、やっぱり死喰い人系列の家じゃないのね」

「かなり自由な奴だったな。
 でもその分、恐ろしくかしこい奴だった……そうでもないと、あのご時世に中立なんていう中途半端な立ち位置で家は守れないけどな」

「――で、招待状を何故私に渡したの?」


ウィルは招待状のある文字を指し示した。
夫婦、恋人同伴で――。


「でも、一人で行くのが駄目だとは書いてないじゃない」

「えー」

「何が、えー、よ」


ウィルはどこからか書類を取り出した。
は手渡されたそれに目を通す。
やはり、あの家は、公的な機関とも警備のアクセスを取っているらしい。


「俺が招待状もらったって本部長に言ったら、是非とも行って来て欲しいと言われて」

「それは私用で? 公用で?」

「私用でも良いから行け、って言われたんだ。何かあった時に対応し易くなるからって。
 おまけに、それならも連れて行けって言われたんだよ」

「……あの人は何を考えているのかしら」

「もう休みをもらって来ちゃった」


は、ウィルの目を鋭く見つめた。


「今更断れないよ、


ウィルの微笑みに、は息を吐く。
ルーファスは何を考えているんだ?
何かを勘違いしていないか?

しかし、ルーファスの考えもあながち間違いではないとは思う。
そうは思うものの……。


「ドレスなら向こうで準備してもらうから、心配しなくて大丈夫だ。
 仮面を被って素性は分からないのを逆手にも取れる。それとも、全く踊れないとか?」

「人並みには踊れるんだけど……」


渋っている


「俺と行くのは嫌か?」


目をじっと見つめられた。
はその目をじっと見つめ返し、ぼそぼそと呟いた。


「嫌なわけじゃないけど……」

「じゃあ、良いじゃん。クリスマスに休みももらえたわけだし」

「ま、変な役割をあてられたけどね」


本部長の言葉を真面目に受け取っているのが、なんともらしい、とウィルは思う。










*










舞踏会が始まる前に二人は屋敷へ赴き、イブニングドレスと燕尾服を借りる。
ウィルの方はあっさりと部屋を出て来たのだが、の方はなかなか時間がかかっていた。
何か問題があったのかと思ったが、女性の身支度の時間は長いのが相場である。

やっと部屋から出てきたは、赤いドレスを身に着けていた。


「もう……古傷を隠すのに必死で、それで一番良かったのがこの形なんだけど、赤ってどうなの? 下品じゃない?」


イブニングドレスらしく、は今までに見たことがないほど、肌の露出をしていた。
胸元は控えめだが、肩はほとんど外に出ている。
そして、パールのネックレスとブレスレッドをしている。


「……努力したね」


ウィルはの肌を見た。
魔法で今晩だけ傷をなくしたのだろう。
以前に見たことのあるの古傷は、綺麗さっぱりなくなっていた。

は今ケープを羽織っている。


「でも、下品じゃないよ。よく似合ってる」


の左腕を掲げ、手の甲にキスした。
その時にの左腕をチェックする。
そこには傷も、闇の印も何もなかった。


「誰にだってそう言うんでしょ」


はまたいつもにもなく化粧を施した顔で、苦笑する。
手には仮面を持っている。


「言わないって」

「お世辞は結構よ」

「意地っ張りなんだからー」


一人で歩き始めるを、ウィルは追う。
長いスカートに包まれた足がここまで素早く動くのは凄い。

ウィルは目の前のの腰に軽く手を沿わせ、身体をの横に滑り込ませる。
はその手を見下ろしたが、特に何も言わずに足を進める。


「で、杖はどこに?」

「胸と大腿」

「なるほどね。それを誤魔化すのに、胸に詰め物したでしょ」

「元々サイズも合わなかったし、丁度良かったわ。そんなことしてたから大分時間がかかっちゃった……」


その後、この会のホストに挨拶をした。
ドレスと燕尾を貸してもらったお礼をし、今日の会の警備について詳細を聞いた。
しかしその最後、その場を立ち去ろうとした時のウィルの友達の一言で、は初めて顔から笑みを消した。


「それで、お二人は実のところどういう関係なんですか?」

「どういう関係に見える?」

「友人、もしくは同僚だと思ってもらったら良いかと」


すぐには笑みを復活させ、ウィルを急き立てて部屋から出て行く。
ウィルの友達は二人の後姿を見つめる。
なかなか後姿も対になって様になっているじゃないか。


「それはないでしょ、Ms.















はこのような場所で戸惑うかと思えば、案外場慣れた風に振舞っていた。
むしろ、ウィルの方が異様な雰囲気の漂うそこに軽く戸惑う。

うろうろと歩き回れば、はあそこに死喰い人だった誰これがいると低く囁いてウィルに指南する。
今回はそれが目的ではないのだが、は気にせずにはいられないらしい。
また、の魔力を察知する不思議な能力いわく、不穏な動きは全く見られないらしいので、は気楽にその場を楽しんでいるように見えた。

ウィルはの側からあまり離れようとしなかった。
肌を出したを放置する気はさらさらなかったのだ。

しかし、ある時、警備の者が二人の元にやって来て、の指示でウィルだけが会場を抜けた。
その後一人でが椅子に腰掛けていると、そこにある人物がやって来る。
その場に影が下りて、目の前にやって来た者へ視線を上げた。


「お一人ですか?」


ルシウス・マルフォイだ。
そうだった、純血の家系が呼ばれるこの場に、彼がいないはずがない。
失念していた自分に後悔した。

声と気配、そしてその髪の色で完全にそうと判断したは、仮面越しに笑みを浮かべる。
出来れば声を出したくなかったが。


「……もうすぐで連れが戻って来ます」

「ではその間だけでも、お相手下さいますか?」

「いえ。申し訳ないのですけれど――」


と言っているそばから、ルシウスはの手を引き、そこに接吻してを立ち上がらせる。
そのまま身体をホールへと向かわされる。
の僅かな抵抗など、彼には敵わない。

ホールへと辿り着いたルシウスは、の腰に手を回した。
仕方なくも彼の肩へ手をのせる。

音楽にのって二人は動き始める。


「私用ですか? それとも、警備に携わっておられるんですか?」


ばれてる。
仮面、もう少し働いてくれ。
はじっくりと言葉を選んだ。


「貴方はどう思われますか?」

「隣にいた彼の存在を考えるのなら、私用ですか?」

「いえ、私用と公用の真ん中辺りです」


ルシウスはをちらりと見下ろした。


「それで、彼とはどういう関係で?」

「彼は闇祓いです。同僚ですよ」

「そのわりには、随分楽しそうにしておられましたね」

「ええ、そうですね」


飄々とステップを踏む
表情の割には、そのステップは優雅だ。
育ちの良さが滲み出ている。

ルシウスはそれにほくそ笑む。


「どうしてここに来られたんですか?」

「彼に誘われたんです。別に恋人でも何でもないのに。
 警備上の都合が少々あったので、ドレスも借りることが出来て。身体の傷を消すのが大変でしたが」


苦笑している
恋人ではない、という言葉にルシウスは驚いた。


「――しかし、彼はあなたのことを好いているようでしたよ」

「……嫌いなら、こんな場に一緒に来ませんよ」


言葉が噛み合っていないように思えた。
の口調はさばさばとしたもので、何か矛盾が生じているような。
ルシウスは暫しの言葉について考えた。


「でも、私も彼を嫌ってませんから、彼がそうであった方が望ましいです」


は少しルシウスの方を見上げて、口を開く。
またルシウスはの言葉の矛盾点を消化していく。

その結果。
目の前でイブニングドレスを着て、優雅にステップを踏む女性。
彼女は、何か大きな思い間違いをしているという結論を得られた。
しかし、そこは普通だと思い間違いをするところではない。

ルシウスはうまく言葉を選ぶ。


「あなたは、彼のことが好きなんですか?」

「やっぱり、嫌いなら一緒にここに来ません」


そう言い切る口は、恋愛沙汰を喋っている口に見えない。
の思い間違いがルシウスの目の前に浮き彫りになる。


「彼は、あなたに恋愛感情を持っている、と私は言いたかったのですが」

「え?」


はルシウスを見上げた。
しかし、仮面越しのその表情が、その言葉を消化し切れているようには見えない。
次には小さくクスクスと苦い笑みを零し始めた。


「……そんな……」


何が、そんな、だ。
ルシウスは苦虫を噛み潰したような感情に襲われた。
そして、昔自分が彼女にしたこと、そしてその後の噂を思い出す。

そうすると、容易にの感情の全体像が把握出来た。


ルシウスは曲の切れ目に、の手を引いた。
強く掴まれた手をは振り払えず、そのまま近くにあった個室へ連れ込まれた。
その部屋にを入れると、ルシウスはその扉の前に通せんぼするかのように立つ。


「何のつもりですか……!?」

「あなたを好いている彼が、あまりにも不憫に思えてね」


やはり、は意味が消化出来ないらしい。
眉を寄せているを前に、ルシウスは仮面を取り払った。
薄い灰色の瞳がを見据える。


「恐らく私のせいだろうから、少しその障壁を取り払ってあげようと思って」

「だから、何のつもりですか?」


ルシウスは扉に背を預け、腕を組んだ。


「私は、あなたにトラウマを植え付けてしまったようだ。それで、あなたは意気地になっている……」


はルシウスから間を取って立ち尽くしたまま、動かない。
ルシウスは目の前の女へ、彼女にとっては非情ではあるが、彼女が忘れているだろう真実である言葉を吐く。


「真実を言っておこう。あなたはどうしたって、女だ。
 今のように力ではどうしても男には敵わない。そして、セックスの時はどうしても受け身がちになる。
 勿論、が魔力に優れ魔法に優れていることは周知の事実だ。
 しかし、そうだとしても、あなたは女という性から逃れられない」

「な……何を……」


肌も露なドレスを着ているは、言葉がまとめられないらしい。
表情も固まらせて、赤子のようにただその場に突っ立っている。
この様子だと、まだ何も分かっていないらしい。

ルシウスはへ足を進めた。
は逃げるように、あとずさる。


「あなたはどうしても自分が女だということを否定したいようだ。しかし、今、性を否定しても何も生まれるものはない」

「どうして……貴方が私にそれを言う権利なんて、ありません」

「それもそうだ。しかし、私は過去にあなたにした行為について謝る気はない」


は唇を噛んで、顔をしかめる。
逃げるヒールがコツコツと音を立てている。


「陵辱された苦痛は、性を否定することによって和らげられたかもしれない。
 中には、そうされることを歓びに感じる者もいるがね。
 それに、あなたが戦争の中を生きる上で、確かにその性は邪魔だったはずだ」


背中に少しずつ壁が近付いているのに、恐怖を覚えた。
目の前の男は歩みを止めようとせず、常に何が楽しいのか笑んでいる。

の胸は底辺から少しずつざわつき始める。
彼の言葉をどう受け取ったら良いのか、分からない。
戯言だと思ったら良いのか。
でも……。


「しかし、愛し、愛されるという過程を辿るためには、性というものは不可欠だ」

「貴方がそんなことを心配してくれなくて結構です!」

「私が心配して「あげている」のだが」


ルシウスは、初めて愛撫するような口調を変化させた。
高圧的な口調になる。
がはっとすると、その背中が丁度壁に当たって、逃げ道がないことをに知らせる。

ルシウスは少し間を取ってから、また口調を元に戻した。
いやらしいほどに優しい口調だ。
目はの姿をじっと見据えている。


「男はみんな女の肉を欲しがっている。それは、あなたは身をもって知っているかな?
 忠告しておくが、お前が好きだといっていた彼も、私と同じ男だ」


近付く男に、心臓が跳ねる。
近付く瞳に、肌が粟立つ。

口が意味の成さない切れ切れの言葉を運ぶ。
それは、の思考そのままだ。


「っ……でも……」

「何が違う? ?」


ルシウスはそっとの肩に触れ、その場に押さえ込む。

肌に触れられた。
の目の前にかつての光景が広がる。
同時に、胃がぎゅっと縮こまる。

ルシウスはの顎に触れ、視線を合わす。
その度々にびくびくと怯える身体と、仮面の隙間から見える現時点で怯えている瞳が、何とも言い難い高揚感を生む。
ルシウスは、親指と人差し指での仮面を取り払った。

丁寧に化粧の施された顔が現れる。
目元はアイシャドーの陰影で悩ましげに彩られ、普段では見られない艶やかさがあった。


「これでも女だということを否定するか?」


の頬に頬紅以外の赤みが走った。
目をルシウスから逸らそうとするが、また顎を捉えられ無理に視線を合わせられる。
胃がとても気持ち悪い。
いつでも振り払えることが出来るような拘束なのに、身体が思うように動かない。

呼吸が少し荒くなっている紅い唇に、ルシウスは指でその柔らかさを確かめるように触れる。
目の前のルシウスの目がこっちに迫って来るのが見えた。


「……や……だ……」


全身の血が顔に集まったかのように、顔がとても熱くなった。
身体が硬直し、は出来る限りで身じろぐが、全然抵抗になっていない。
胃から全身に不快感が広がる。

はぎゅっと目を瞑った。


「やめてっ!」


空白の数秒が過ぎる。
はゆっくりと目を開けた。

手は習慣づいた動きで杖を胸元から取り出し、ルシウスへ杖先を向けていた。
は肩を上下させ、恐々とルシウスの姿を見る。
顔は耳までも真っ赤だった。


「ようやく、分かってくれたようだ」


ルシウスは満足げにそう言いに手を伸ばしたが、があまりにも怯えるので、その手を引っ込める。


「彼によろしく」


そう言って、ルシウスは心なしかすっきりとした顔で立ち去って行った。

途端、はその場に崩れ落ちた。
杖を抜いたことによって乱れている胸元を、押さえる。

気持ち悪い、気持ち悪い――。

今の光景と過去の光景が混ざり合い、にひどい苦痛を生んでいた。
今にも吐きそうだ。
不快感が身体に重く溜まっている。

しかし、真っ赤な顔は変わらない。
涙で潤んでいたらしい目を、化粧が落ちない程度にこすった。
心臓は早く強く鼓動を続けている。

……どうして。

生理反応なんか消えてしまえ。
消えてしまったらいい。

そう思いつつも、胸にはさきほどのルシウスの言葉が響いていた。

――女という性から逃れることは出来ない――彼だって、男だ――。

でも私は……私は……――。


















用事が終わったらしいウィルが戻って来た。
は軽い笑みでそれに応える。

平静を取り戻すまではずっとあの部屋にいて、今やっとホールに戻って来たのだ。
何とか胸は落ち着いている。
前と変わらない対応が出来る自分を、は確かめた。


「大丈夫。今まで何も起こってはいないし、不穏な気配は何もないって」

「それは良かったわ」


ウィルは報告し終えると、今までずっと言いかったことをへ述べた。


「じゃあ、踊らない?」

「……良いけど」


ウィルはをともなって、ホールに進み出る。
その時にゆるく掴まれた手にさえ、は神経質になっていた。
心臓がドキリと震えたが、はそのような素振りを外へ見せない。

しかし、次に掴まれた腰に、は身体を跳ねさせた。


「……? どうかした?」

「……何ともないわ」


ウィルの視線が真っ向にの視線とぶつかる。
また心臓がびくりと跳ね、身体が熱くなる。
すぐに視線を逸らしてしまう。


?」


の不審な行動に気を取られつつも、二人はステップを踏み出した。
しかし、その時々に触れる身体をは妙に意識してしまう。
の頭の中はパニック状態だった。

ウィルは何も言わず、のそんな様子を見ていた。
曲が終わると、ウィルはをホールの外に出す。

の頬は赤かった。
そして、どうしても自分と視線を合わせようとしない。
の身体に触れる度に、が敏感に身体を反応させているのには気付いていた。


……さっき、何かあったのか?」

「別に、何も」


と言うは、またウィルの視線を避けていた。
露骨過ぎる。
何もなかったわけがない。


「ちょっと、――」


思わずの両肩に触れると、途端には身をすくめた。
ウィルはから手を放す。


「……どうした?」


は強いウィルの言葉の後の沈黙に耐え切れず、小声で呟いた。


「ルシウス・マルフォイとちょっと話しただけよ」

「マルフォイ?」


がウィルを振り返ると、ウィルは目線でルシウスを探しているようだった。
は決起してウィルの腕を持つ。


「本当に、何でもないの! 大丈夫だから!」


自分の腕を掴まれているのに気付いたウィルは、踏み止まる。
あれほどまで触れられるのを嫌がっていたが、自ら触れるだなんて……。
しかし、彼女の言う「大丈夫」はあてにならない、とウィルは思う。


「何かされたんじゃ……」

「話しただけよ!」

「じゃあ、どうしてそんなに真っ赤な顔をしてるんだ?」


は、返答に困ったように辺りをキョロキョロと見渡し始めた。
近くにやって来たボーイの盆の上の飲み物を取る。
これで、頭を冷まそうとしたのかもしれない。

しかしそれを勢い良く飲んだ途端、の身体が揺らいだ。
ウィルはうまくグラスをキャッチし、の身体も抱き止める。


の思考は黒い闇の中に落ちていった。
最後に感じたのは、これはワインだった、ということ。

――何という不覚――。

は思考がブラックアウトしていくのを感じた。


ウィルはグラスの中のものを嗅ぎ、舌に含んでから、側にいたボーイにも毒見させた。
彼は、ただのワインだと言った。
ただのワイン……ただのワイン?


「……彼女、アルコール全然駄目だったよな」


ウィルはの身体を抱きながら、どこか部屋をとって欲しい、とボーイに頼んだ。










*










は目覚めた。
何がそうさせたのかは分からないが、はぱっちりと目を開けた。
天蓋つきベッドに寝かされている。

……天蓋つきだ。
そして自分もばっちりと化粧をし、イブニングドレスを着込んでいた。
それで、さっきまでの記憶を思い返す。

たくさんワインを飲んでいたわけじゃなかったので、ひどい頭痛はなかった。
そのまま地面に足を下ろす。
しかし、さっきの己の行動が情けなくて仕方がない。
胸が痛んでいるに、軽い声がかけられた。


「はい、水」

「……ありがと」


ウィルの顔を見ないで、はグラスを受け取る。
すると、ウィルは故意にこっちを覗き込んできた。
その目を見るとどうも頭に血が上る。
は、すぐに視線を外す。

飲み終えたグラスをウィルは受け取り、もう一杯薦めてきたウィルにはもういらない、と答える。


「あれから二時間くらい経ってる。この部屋は快く貸してもらったから、遠慮する必要はないよ」

「……ごめんなさい」

「それは、何に対する謝罪?」


また、ウィルは故意にの目に視線を合わせてくる。
はまた視線を逸らした。


「注意散漫になってワインを飲んでしまって、倒れたことについて」

「どうして注意散漫になったのか教えてくれない限り、許してあげない」


は視線を下げる。
胸の痛いほどの重みに耐えて、言葉を搾り出す。


「ルシウス・マルフォイと口論になって」

「どういう口論?」

「……」


黙りこくるの視線の先に、またウィルは滑り込んだ。
一時視線が合うが、または視線を動かす。
すると、またその先にウィルが視線を合わせてくる。

眉をしかめたは、急に立ち上がって、窓へと進み出した。


「え? どうしたの?」

「外の空気に当たりたいの!」

「ちょっと待って。今、十二月――」


側にあったガウンをの背に被せ、ウィルはを追った。
夜の闇に雪が舞っている。
は薄いドレスだというのに、足を緩めることなく窓を開けベランダに立ち、外の景色を眺め出す。

ウィルはその隣に立った。
二人分の白い吐息が立ち上る。

ウィルは隣を見て、のガウンの前を閉めてやった。
そうしている間も、の視線は高く広い空にある。


「で。本当は何があったんだ?」

「何も」

「強情だなあ」


ウィルは寒さにかじかむ手を擦り合わせる。
目を動かさず空を見つめ続けているは、微動だにしていない。
黒い空に白くほの紅い頬がコントラストを生んでいる。
ウィルはかえってのその行動に不安を募らせ、自分の上着をへ被せた。

は上着を被せられた肩を見る。
すると、その顎をウィルに支えられ、視線を上げられた。

粉雪を背景にし、ウィルの顔の青い目が目の前にある。
は一気に顔を真っ赤にしてウィルの手を振り払う。
の困ったような横顔。

すると、ウィルは急にの裸の手を握った。
は驚いて反射で顔をウィルの方へと向けるが、すぐに気づいて視線を下げる。
ウィルはそんなことにお構いなしに、の背を抱き寄せ、腰に手を当てて自分と対面させた。

の顔と目が頼りなさげにウィルの胸の辺りで彷徨っている。
裸の手を握っていた手で、の頬に触れ、視線を上げさせた。

ドレスと同じ生地が張られた靴が、一歩下がった。


「あ……」


の喉から微かな声が聞こえる。
その声が発せられた唇へ、ウィルは唇を下ろす。
二人分の白い息が交じり合う。

あとほんの僅かでそれが触れ合おうとした。


「――やめてっ」


紅を塗った唇でそう言いながら、は真っ赤な顔をウィルから背け、手でウィルの身体を押した。
目はぱちぱちと瞬きをして、泣きそうな目をしている。
ウィルは初めて見るの様子をじっと眺めながら、飄々と言う。


「どうして? 嫌だった?」

「嫌じゃないけど――」


その言葉を言うと共に耳にした瞬間、は己が発した言葉に蒼褪めた。
ウィルはお気に入りのおもちゃを手にした子供のように、笑んだ。


「嫌じゃないんだー?」

「違っ、嫌に決まってるじゃない!」

「さっき、嫌じゃないって言ったじゃん」

「あれは咄嗟に口が勝手にっ……」

「咄嗟の言葉って、大抵は本音だと俺は思うよ」


その言葉を聞くことを放棄し、はウィルの手を振り解いて部屋の中へ戻る。

……何と気ままなお姫様だ。
ウィルは服についた雪を払い、きちんと窓を閉めてから、温かい部屋に戻る。

そこには、今にも頭から湯気を噴き出しそうなが、まるで立つ場所がないかのようにそわそわしていた。


「……嫌じゃないんだ?」

「しつこい!」


からかいの一言をかけて、ウィルは近寄ると蜘蛛の子のように逃げようとするを見る。
ここまで狼狽しているの姿は初めて見る。


「外に出るのに、上着が欲しいんだけど……」


ウィルの言葉に、は無言で背中の上着を取り、渋々とウィルの方へ近寄って目線を逸らしながらそれを渡した。
器用な人である。
ウィルは上着を羽織る。


「じゃあ、ちょっと外に出て来るから、ちょっとここで待ってて」


それだけ言うと、ウィルはの心配とは正反対にあっさりと出て行った。


の身体から力がどっと抜け、側にあったソファーに沈み込んだ。
両手で頬を挟む。
熱い、熱過ぎる。
外の冷気に逆らってこんなに熱くなるなんて、おかしい。


「〜〜」


言葉にならない思いが胸の中で渦巻いている。
不覚だ。
あんな言葉を言ってしまうなんて。

しかし、は一つの疑問を抱えていた。
さっきまで、触れられようとしたらあれほど不快になって気持ち悪かったのに、今はなんともない。
胃が縮まることも、揺れ動くこともないのだ。

――本当に、嫌じゃなかったの?

自分の吐いた言葉を頭の中で反芻した。
ということは、私はあのまま続いていた方が良かった、ということ?
あのまま……。

は無意味にソファーを叩いた。
さっきまでの光景をリアルに思い描くと、耐えられない。

側にあったクッションを掴み、腕でぎゅっと握り込む。
その中に顔を埋めた。
なんだ、じゃあ、これもただの恋煩いとでもいうことなのか。
あの人のせいで、こんなに私が狼狽しているのは明らかだった。

目を瞑るとさっきの光景が蘇り、は唇を噛んだ。
苦しい。
駄目。

でも、私の身体が拒否を示していないことは明らかで、心も拒否を示していないのも明らかだった。

だって、今頭の中にはあの人のことしか存在していないから。
さっきからずっと胸がドキドキと鼓動していた。
そして、はたとルシウスの言葉を思い出す。

彼は、私のことがそういう意味で好きらしい。

さっきの行動からも容易に分かることなのだが、は頭の回路がオーバーヒートしそうになった。
また触れられるのを望んでいるかのような気持ちが心にあるのに気付き、またルシウスの言葉を思い出す。
私は女という肉体も精神からも、逃れることは出来ないらしい。


「……私も……女だったか」


小さく呟き、見下ろした先には、女のやわい肉体と女の象徴のドレスがあった。
肉を脱ぎ捨てることは、出来ない。
彼も、私も。















「心外だな」


ルシウスは、目の前で静かにながらも怒りに燃える若者に対し、言う。
呼び止められたかと思いきや、無理やり別室に連れて来られた。
例の「彼」に。


「私はあなたにそうされるいわれはない、と思っているのだが」

に何をした?」

「話しただけだよ。それも、有意義な話を」


生意気な口調にルシウスは反感を持ったが、じっとりと目の前の若者を観察する。


「そう君が言うなら、に何か変化があったということだろうね。彼女はどうしている?」

「急に触れられることに敏感になった。目線も彷徨っている」

「それは良い傾向だ」


微笑むルシウスに、ウィルは眉を寄せた。
内心の分からない怪しいおっさんだ。


「何かしたんだろ? あんた、過去にに何をやったか覚えているか?」

「今日に触れたのは、腰と肩と腕だけだ。それもダンスを踊る時の話だ」

「――良い傾向、というのはどういう意味だ?」


埒が明かないルシウスに、ウィルは別の話題を振る。
ルシウスは眉を上げた。


「異性を意識することになった、という意味だよ」


分かっていなかったのか、とでも言いたそうなルシウス。
ウィルはこの男がのそのような性格までも把握していたことに驚きつつも、やはりに変なことをしたんじゃないか、という思いが胸に渦巻く。


「君への好意で、そうへと話をしたのに。君も、がうんともすんとも言わないのに苦労していたのだろう?」

「……それを否定はしないが……」

「では、それで良いと思うがね。私も、折角のこのような日に君と話して過ごしたくはない」

に何と話したんだ?」

「君は女だと。たったそれだけの話だ」


この人がそう言っても全く説得力がない、とウィルは思う。
ルシウスは話は済んだとばかりに、扉へ向かった。
しかし扉の前に来た時に、ふとあることが頭に浮かぶ。


「君は、の闇の印を見たか?」


ウィルはじっとルシウスの目を見つめ返した。
そして、ルシウスが思っていたよりも随分と冷静に口を開く。


「今日はついてはいなかった」

「闇の帝王が凋落後、それは随分と薄くなっている。うまく誤魔化したのだろう」


それだけ言って、ルシウスは身を翻した。
思っていたようなウィルの動揺が見られなかったので、つまらないと思ったからだ。
しかし、扉にウィルの手が当てられ、扉を開けようとしていた手は止まった。


「どうしてつけられたんだ?」

「……親のしがらみだ。彼女の魔力に目をつけた闇の帝王が、彼女の意思を確かめることなくつけたらしい」

「そうか。やっと、すっきりした」


笑みを漏らすウィルに、ルシウスは扉を持っていた手を離し、腕を組む。
奇妙な若者を眺めた。


「闇の印を持っている闇祓いを、そんなに簡単に許容して良いのかね?」

が死喰い人の活動に参加していないのは、明白だからな」

「今はそうだとしても、過去はどうなのだ?」

「そんな奴をムーディが弟子にとるわけがない」


きっぱりと言い切る男に、ルシウスは何となくがこの男を気に入ったわけが分かったような気がした。
訊きたいことはもう訊いたからどうぞもう出て行ってくれ、という風情のウィルに、ルシウスは声をかけた。


「君とはまた会いたいものだ」

「俺は会いたくないけど」


ルシウスはに以前似たような台詞を吐かれたことを思い出し、ふと笑む。
部屋の外に出て、扉を閉める寸前に一言言い残した。


「ああ、それと、の唇にも触れたことを忘れていたな」


扉は閉まった。
ウィルは解ぜぬ男を、ひどく眉を寄せて見送った。

この人からも強情なからも、先ほど何があったのか問い詰めることは不可能だろうことは、薄々予想はしていたのだ。















部屋へ戻ると、はあの鮮やかなドレスを身にまとってはいなかった。


「着替えたの?」

「もう不要でしょ」


はいつもの飾り気のないローブとマントを着て、化粧も普段のものに戻っている。
見慣れたの姿にウィルは歩み寄る。
は、その姿をほんの一瞬だけチラリと見た。


「折角借りたんだから、もうちょっと着てても良いのに」

「この格好じゃ駄目なの?」


はウィルから目を逸らしながら、すねたような口調で言った。
ウィルはやたらに可愛らしいに微笑み、彼女の前に立つ。


「いや、全然」


そう言って変わらず視線を合わせようとしないの頬を手繰り寄せ、こちらへ寄せる。
一瞬目が合ったは、その途端に困ったかのように眉を寄せて視線を落とした。
しかし、ウィルはまたもその頬を己の方へ上げる。


「目線を合わせたくないくらい、俺のこと嫌い?」


その言葉を聞くと、はじっとウィルの青い瞳を見つめる。
そして、無言で顔を横に振った。
の目に落ち着きの色が現れたことを確認して、ウィルは笑う。

手を彼女のマントごと腰に回し、顔の下の無防備な首筋に触れるだけのキスをする。
ウィルが顔を上げると、は眉を寄せて頬を染めていた。
いやだ、とは言わない。


「じゃ、俺も着替えてくるから、ちょっと待ってて。それから一緒に帰ろう」


出て行くウィルを見送り、は触れられた箇所に指を当てた。
少し触れられただけなのに、そこは熱い。



























2009/1/12






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