09/赤糸の絡まり














グリモールド・プレイスで、セブルスと偶然に会うというのは珍しいことであった。
所用がある時しかセブルスはここへ寄り付かず、そのような場合は会ったとしても所用が先にあり、まともに話すらできない状況だった。
だからこそ、以前にセブルスは脱狼薬作りという名目でを自宅へ呼び、その状況を継続させたのだが……。
セブルスとが昼日中にばったりと廊下で出くわすだなんて、今までになかったことだった。
は驚いたような表情を見せた後、親しげに微笑む。


「貴方とここで会うなんて珍しいじゃない。何か用事があったの?」

「ああ……それも終ったところだ。お前は?」

「変則的な仕事をしてるからね。今日は夜から魔法省よ」


セブルスはそのの声を聞くと僅かに笑みを見せた。
この場所で、セブルスがこうして笑んでいるなんてとても珍しい、とは思った。
この場所はシリウス・ブラックの居城でもあるのだ。
同時に逃れることのできない牢でもあるが。




「ん?」


セブルスはの手を取ると、軽く身を屈めてその甲に口付けた。
窓から燦々と日光が降りかかっており、二人の真っ黒なマントは揃ってそれに照らされ、の白い甲が際立って光を返す。
セブルスのその仕草がまるでルシウスのようだと思いつつ、彼らは確かに同類であると思い直すと、それに納得がいった。
しかし……。


「セブ、一体どうした――」

「夜まで一緒に過ごさないか?」


耳元で低く囁かれ、の身体は敏感に跳ねた。
鼓膜から毒されていくような声色に、背中から下腹部に電気のようなものが走る。
経験上、彼がこのような声色でこのような動作をする時――彼が本気であることは知っている。
私はこのような彼から逃れることはできない。
しかし……の目に、煌々とした太陽が見えた。


「今、真昼間よね?」

「それに何か問題が?」


呆気ないほどに淡々とそう答えたセブルスは、さり気なくの身体を側の部屋へエスコートする。
夏休みの大掃除のお陰で、その部屋はなんとか過ごせる程度には清掃されていた。
の目は壁に肖像画がないかせわしなく動く。
セブルスはそんなを目に留め、こっちを見ろとばかりに顎を掴んで、口付けを施した。
の意識が濃厚なそれに絡め取られている間に、セブルスはベッドの上へを横たわらせる。
ベッドに沈んだ時、そこから埃が舞っているかどうかを確認することは、にはできなかった。
接吻が終ると、の唇が小さく息を吸った。


「時間は関係ないだろう?」


イエスと答えるのが当然かのように問うセブルス相手、はもう彼に抗うことはできないのだろうと確信した。
嫌がって逃げるほどのことではないし、たまにはこういうのも良いかもしれない、との頭の一部は考えた。
上から被さってくる黒い影のお陰で、古ぼけたカーテンの脇から入ってくる昼間の日光は遮られていた。


「……そうね」


セブルスは満足げに目を細め、再度へ口付けた。
手は首筋を撫で、鎖骨をなぞり、ローブの中へとくぐっていく。
の足の間にセブルスの足が割って入った。
は溜息を吐き、夜の仕事や騎士団の任務など今は忘れ、目の前の彼の与えてくれるものを享受し、与えるべきものを供与しようと一心に思った。

その場に不似合いな音が立った。
扉が軋む音である。
その音が立った途端、こちらを覗くいくつかの小さな頭が見え、すぐにまた扉は軋んで閉まった。


「――セブルス――鍵してなかったわよね」

「――ああ、失念していた」

「この屋敷にいる子供たちの顔が見えたわね。今は扉の前でたむろしているようよ」

「そのようだ」

「セブ……」


また以前の続きで手を動かそうとするセブルスを、はたしなめるように見上げた。
その視線は届いたらしく、セブルスは大きな溜息を吐いての上から立ち退いた。
その顔はまるで誰かを殺そうかとしているかのように殺気立った、恐ろしげなものだった。
は衣服を丁寧に正し、セブルスの隣に立つと、先導するかのように扉の外へと向かった。





扉が向こうから開いた途端、子供たちは蜂の子が散らばるように扉から離れた。
扉の向こうから見えた顔は、にこやかなのものだった。


「こんにちは。今日は良い天気ね」


まずの姿が見えたことに子供たちは安堵したようで、口々にの挨拶に対する返事を呟いた。
は子供たちの様子を観察する――ハリー、ロン、ハーマイオニー、ジニー、フレッド、ジョージ――間違いなく、彼らは「目撃」してしまったようだった。


「こんな良い天気の日の真昼に、私はきっとこんなことをするべきじゃなかったわ。……なんというか……ごめんなさい」


苦笑したの背後の扉がさらに開き、そこから彼らの大嫌いな恐るべき教師の姿が現れた。
元々引き攣っていた子供たちの顔が、ますます恐怖の色合いを濃くする。
そして、戸惑いの色も濃くなった。


「となると、別にはスネイプ「先生」に襲われていたとかいうわけじゃなかったんだ」


フレッド――この状況でも飄々とした、むしろ好奇心が刺激されて爛々とした目をしている双子の一人――が、企み顔で言った。


「なんだ、「先生」たちは二年前にできてたんだ。「先生」というのはホグワーツで何をやっても良いんだ」


ジョージも同じ表情で続けて言った。
はマントの下で腕を組み、なるべく感情を動かさずに平静にいることを念頭に置きながら、問いに答える。


「私はこの人に襲われないわ。それくらいの自衛手段には長けているつもりよ。ジョージの言っていることは、その通りだけど」

「……じゃあ、あの時の噂は本当だったということですね」


そのような噂が一時流れていたことを知っているは、ハーマイオニーの言葉に曖昧に微笑んだ。
生徒にそんなに冷静に返されると、なんとも居心地が悪かった。
「先生」としてあまりしてはいけないことをしていた、という自覚はあったからだ。


「目に毒なものを見せつけてしまって、本当に悪かったと思っているわ」

「この屋敷にいる騎士団のお前たち以外のものは、全てこの関係を知っている」


今まで押し黙っていたセブルスが、まるで講義をするかのように喋り出し、子供たち全員はの背後にいる男へ目を向けた。
セブルスはその場にいる者たちを黙らせて己の話を傾聴させる才能があるのは、は前から知っていた。
は彼は何を言うのかと恐々見守った。


「であるから、この屋敷の中だけではこのことを口に出しても良かろう。
 しかし、この外ではこのことを口に出すことは、ダンブルドアの名の下に許されない」


は合点がいった。


「つまり、魔法省の闇祓いとホグワーツの教師が親密な仲にあるということを知られると、不利益を生み出すのよ。
 私は決定的に魔法省にいられなくなるかもしれないし、セブルスも今の立場を保持できなくなるかもしれない。
 戯れのゴシップや噂だと思って軽率なことをしてもらったら、それは騎士団の不利益を生み出すわ。分かってもらえる?」

「じゃあ、せめて、鍵をかけておけば良かったのに」

「黙れウィーズリー」


セブルスは、「フレッド」・ウィーズリーへ容赦のない一言を浴びせる。
しかし、彼は慣れたものでフンと鼻を鳴らした。


「分かってもらえたかしら? もし話をしたなんていう噂を聞いたら、私は許さないわよ」


はそれとなしに、それでも誰にでも分かるような仕草で、己の杖のある腰に手を向けた。
これは脅しであった。


「ホグワーツでは我輩が監視していよう」

「頼むわ、セブ」

「容赦するまい」


とセブルス、二人の脅迫に抗える者はこの場にいなかった。
辺りが静まりかえり、ついとセブルスがに対して顎を上げた。
はセブルスに腰に腕を回されるのをそのままにし、子供たちへ小さく手を振って、セブルスと二人でその場を離れ始める。


「思わぬ邪魔が入ったな。どうする?」

「私もその気になっちゃってるのよねえ」

「場所を変えて、我輩の家へ来るか?」

「あ、じゃあ、脱狼薬精製の手伝いでもしましょうか?」

「いや……お前の手を借りなくてもまだ大丈夫だ。それに、今は時間が惜しい」


二人の姿が階段へと消え、声も聞こえなくなると、フレッドが呻いて続いてジョージも同様に呻く。


「くっそう! こんなネタを放っておくことしかできないだなんて!」

「スネイプの恋人にだって……それも昼日中にセッ――」


ハーマイオニーがたしなめるように言葉を挟んだ。


「二人が仰られていた意味は分かったでしょう? 私もそれは至極当然のことだと思うし、このことがダンブルドア先生の耳に入るのも時間の問題だわ。
 あえて言うのなら……さっきはあの二人らしくなく、とても無防備だったわね」

「分かっているからこそ悔しいんだよ。立ち去る時の会話を聞いたか? またあの二人やるつもりだぞ」

「私も……この状況でそれはどうかとは思ったわ」


ハーマイオニーはすとんと肩を下ろして、隣にいたジニーを見やった。
ジニーはまるで何かの批評家のように腕を組み、考え深く口を開く。


「私は二年前の噂は本当かも、って思っていたわ。だからそんなに驚いてはいないけれど……」

「あんな噂を信じていたのか、ジニー? とスネイプができてるってやつだろ? があんな奴とくっつくだなんて考えられない」

「一見不釣合いに見えるかもしれないけれど、あの二人はお似合いだわ。
 さっきの会話も聞いていたでしょう? ぴったり息が合っていたし、よく二人を御覧なさいよ。身に纏う雰囲気がそっくりだわ」

「あなたたちは知らないと思うから言うけれど、確かにスネイプは嫌な奴だけどスリザリンの女子には人気よ。
 ホグワーツの教授陣の中では若い男性は少ないから、必然的にそうなるのかもしれないわね。
 だから、もホグワーツにいた時に、そうなっても不思議ではないかもしれないわ――スネイプと渡り合っていたし、親しげな様子を見せていたもの」


女子二人の淀みない観察眼に、男子は目を泳がせた。
互いに視線を交わす。


「詳しいことは他の大人たちに訊いたら良いと思うわ。私たち以外、この屋敷にいる人はこのことを知っているらしいから」


ジニーは肩をすくめた。


「――でも、良いものを見せてもらったな」


ポツリとロンが呟いた。


のあんな格好は初めて見たよ」

「ロンったら!」


ハーマイオニーが眉を顰めて大声を上げた。
フレッドがハーマイオニーの肩をポンポンと叩き、奇妙ににやけた顔をした。
隣のジョージも同じ表情をして、感慨深げに腕を組んで頷いていた。


「ここにいる若いお嬢様方とを比較するのは次元が違うから、許してやってくれよ。
 ハーマイオニー、君も少しくらいロンと同じことを思っただろう? 普段あんなにストイックに見える二人が絡んでたんだ」

「普段はそんな拍子も見せない女が肌を見せるのは、そそられるねえ。なあ、ハリー」

「……もうちょっと時間が経っていたらどうなっていたのかは、気になるね」


ヒューと口笛が鳴った。


「男の子って!」


ハーマイオニーが怒り心頭の様子で、もうここにはいられないとばかりに足を階段へと向けた。
ジニーがその後を追った。
階段を下りて、厨房へ下る時になって、ジニーはハーマイオニーへ囁いた。


「――私には刺激が強かったわ」

「……そうね」


ハーマイオニーは目を伏せて手で額を揉むようにして、暗い階段を滑り降りていく。
豊かな髪の毛がふわふわと跳ねる。
二人分の黒いマントの下から覗く、白く形の整った肌の造形が嫌に目に焼きつき、マントから放たれたかのように感じる濃密な色香が今でも身に纏わりついているかのようだった。
二人の表情がそれぞれ見えなかったことに感謝した。
男の子たちはあそこで行われていたこと自体だけに気を取られていたようだった。
ハーマイオニーはこんなことでこんなに胸がざわめき立っていることに、嫌気が差した。










*










「俺の家で逢引きしていたそうじゃないか」


はその言葉が自分に向けて発せられたことを確認し、顔をシリウスへと向けた。
シリウスはまるで挑むかのような眼つきで、唇は笑みを描きながらも、言葉は卑下するかのような色を含んでいた。
汚いものを吐く口つきで、言葉を続ける。


「ここは逢引き茶屋ではない。不死鳥の騎士団の本部だ」


ここには、モリー・ウィーズリーを始め、子供たちから大人までが勢ぞろいしていた。
厨房で話すには相応しくないだろう話の内容に、モリーは一瞬眉を顰めたが、聞いていない振りをして鍋を磨くことに決めたようだった。
にはシリウスの考えていることが把握できた。
きっと、シリウスはそのことを子供たちから聞いたのだろうが、そのことをこの場で言ってしまえば、直ちにモリーが私への叱責を始めてしまう。
それは本位ではなく、ただ単にそのことで私をからかいたいだけなのだろう。


「申し訳ないわ。今度から別の場所で行うことにするわ」

「へえ、どこでするんだ?」

「どこなりとも。私も彼もこの屋敷の外に出ることができるもの」


分かり易くシリウスの顔が凍りついた後に、怒りの形相を見せた。
大人の数人が厨房から出て行く。
しかし、子供たちは誰もここから出ようとしなかったし、ムーディは何事も起こっていないかのような様子で酒を飲んでいた。


「ここで人に目撃されるような状況で惚気合っていたのは、本当に反省しているわ。ごめんなさい」

「惚気合う――ね。俺もスネイプとお前がそんなことをしているところを目撃したかったよ」

「あら、今度見せてあげましょうか?」


人を馬鹿にするかのような笑みを見せて、は軽く言った。


「やっぱり遠慮させていただくよ。興味本位で、そんな気持ち悪いものを見て後悔するのは嫌だからね」

「そうね。貴方にとっては気持ち悪いものかもしれないわね」

「いや、のことを言っているんじゃない」


の表情が笑みから徐々に淡々とした真顔に変わり、不機嫌なものへ変化した。
目はシリウスを見据え、動かない。


「貴方はあくまでもセブルスにけちをつけたいようね。話を振ってきた時から、結局こうなるんじゃないかと予想していたわ。
 貴方たちの仲が悪いのは知っているわ。でも、だからといって、私たちの関係に口を挟む権利は全くないわ」


口調は殺伐としたものだった。
ムーディはそれを片耳に聞き、去年のとのセブルスに関しての言い争いを思い出した。
シリウスとの言い合いの勝者は、容易に想像できた。


「お前のことを思って話しているだけだ。スネイプのことは、お前より俺の方が知っている」

「貴方はセブルスの悪い所を、そりゃあ、深く知っているでしょうね。長い付き合いだもの。私は貴方より彼の良い面を知っているわ」

「どうしてそんなに盲目的なんだ?」

「私が盲目的?」


は吹き出した。


「貴方よりましよ。無条件に、己の方がセブルスより勝っていると信じて疑わない貴方よりかはね」

「――――」


シリウスは頭をかいた。
別に、シリウスはを不機嫌にさせたかったわけではなかった。
むしろ、逆のことを望んでいる。


「あいつのどこが良いんだ?」

「あなたにそれを懇切丁寧に説明しても、理解してもらえないと思うわ」

「あいつで満足しているのか?」

「ええ。とても満足しているわ」

「へえ、あいつは上手いのか?」


の視線がシリウスを咎めるかのように上がり、睨み付けた。


「下世話なことはご想像にお任せするわ」

「下世話? とても大切なことだと思うがね」

「この場では、とても下世話だわ。ブラック」


ファミリーネームを呼ばれ、シリウスは眉を上げたが、何とか己を収めて平静を繕う。


「そんなにあいつに固執しなくても良いじゃないか。色々試してみないと、本当の味は分からない」

「私が色々試したことがないから、現状で満足しているんだと言うのね」

「そうだろう?」

「私はそんなに突っついて味見をしたいタイプじゃないの」

「だから、そういうことを言うんだ」

「ああ……貴方は、私に試させてみたいのね?」


は茶化すように言葉を放つ。


「ああ」


シリウスは、の茶化す様子には応えずに、至極真面目に答えた。
は胡散臭そうな目でシリウスを見ると、シリウスはその目を受け止めた。
二人はじっと見詰め合うと、はきっと眉を吊り上げて、今までの鬱憤を晴らすように勢い良く椅子から立ち上がった。


「貴方と試すくらいなら、アラスターと試す方がずっと良いわ!」


ムーディは飲んでいた酒を吹き出した。
は言葉の勢いそのままに、マントを翻して厨房から足音高く出て行った。
ムーディの咳き込む音が厨房に響き、シリウスはの出て行った後を顔を顰めて見ており、モリーは先ほどまでの会話の内容に対して溜息を吐いた。
子供たちは子供たちで、辺りの様子を窺いつつ好奇心に火が点いたように喋り始めた。

トンクスは、隣にいたリーマスが眉を下げて仕方のなさそうな顔で厨房を出て行くのを見送った。
きっと、を追うのだろう。
先ほどまでのとシリウスとの会話を思って、今のリーマスの行動を思うと、何となく自分が馬鹿みたいに思えてきた。















「すまない、


背後から声をかけられて、この屋敷を出ようとしていた足が止まった。


「シリウスは――」

「彼は、やきもちを妬いているのよ。犬猿の仲で自分より遥かに格下だと思っているセブルスに、女がいるなんて。
 アズカバンで十二年過ごしてきた彼には同情しているし、理解はしているつもりよ。でも、その女が容易く手に入るだなんて思わないで欲しいわ」




リーマスはの側に歩み寄り、その肩に手を置いた。
怒りの形相を見せる顔を覗き込み、じっとその目を見つめた。


「落ち着いて」


はリーマスの顔を見て怒りが収まってきたようで、怒らせていた肩を下ろし、小さく息を吐いた。


「……こんなことで怒っちゃってごめんなさい」

「いや。君が怒るのも当然だと思うよ」

「彼が煩く私に言い寄ってくるのは、私のことが好きだとかそういう意味じゃなくって、単なるやきもちだと理解していたわ。
 彼の境遇には同情しているから、少しくらい戯れには付き合ってあげようと思っていたのよ。私の恋人に迷惑がかからない程度にはね。
 でも、私に対しても、セブルスに対しても、あんなに中傷されたら、もう付き合ってあげられないわ」

「シリウスに代わって僕が謝るよ。申し訳なかった」


本当にリーマスが申し訳なさそうに言うものだから、はさっきまで怒っていたのがとても申し訳なく思えてきた。
シリウス相手にこんなに本気で対応してしまったのが、少し恥ずかしくなった。
軽くいなしておけば良かったのだ。


「……彼に、今度会っても謝りはしないけれど、いつものように対応するわ」

「ありがとう。いつも煩わせてしまってすまない」

「貴方はもう謝らないで。私の問題よ。彼に対する負い目はまだ背負っているもの」


は少しだけ微笑んで、リーマスの頬に軽くキスをした。
意思を共有する視線を互いに交わしてから、はまた玄関へと向かった。





この二人の様子を厨房に通じる扉の隙間から窺っていたシリウスとトンクスは、互いに視線を交わさずに厨房へ戻った。
シリウスの顔には隠すことのできない愕然とした表情が残っており、トンクスは親しげでリラックスした様子のリーマスのことが頭から離れなかった。
――にはセブルスがいるんだ――そう繰り返すが、言葉を媒介せずとも意思を通じさせる二人の様子が、ショックだった。


























2011/1/1






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