5巻連載の予告的なもの









三人の闇祓いは、一斉に渡されていた羊皮紙を覗き込んだ。

――不死鳥の騎士団の本部は、ロンドン、グリモールド・プレイス十二番地に存在する――。

ルナは、十一番地と十三番地が隣り合っている様子を眺める。
先ほどのメモの内容を考える。
そうすると、十一番地と十三番地の間から、もう一つ家が現れ始めた。

ルナ、キングズリー、トンクスは、急いでそこに駆け寄る。
石段を上がると、ルナはムーディに教えられたように扉を杖で叩いた。
扉は呆気なく開く。

三人は無言のまま、家の中に入った。
扉が閉まった瞬間、トンクスが咳き込んだ。


「な、何!? すっごい埃っぽい……」






耳をつんざくような悲鳴、そして大きな罵り声が聞こえていた。
玄関ホールにやってきたルナは、耳を塞いで顔をしかめる。
ブラックが、肖像画と罵り合いをしていた。


「誰なの? あれは!」


騒音に負けないよう、ルナは大声を上げた。
リーマスも同様に大声を上げる。


「シリウスの母親だよ!」


ルナは耳を疑った。
リーマスは、大急ぎで肖像画につけられているカーテンを閉めようと走り出した。
ルナはリーマスの大急ぎの様子とは裏腹に、妙に視線を尖らせてつかつかと肖像画の前に立った。
ブラックは、奇妙なものを見るような目で、目の前に立ちはだかったルナを見た。


「由緒正しきブラック家の血筋に相応しい気品は、どこにいったのですか!?」


周りの者は、その発言に耳を疑った。






「ねえ、ねえ、ルナ、あの人だれ?」

「……リーマス・ルーピン、一昨年の同僚だけど」

「彼、紹介してよ、ルナ」


ルナはトンクスを窺い見た。
彼女はキラキラと光り輝く視線で、リーマスを見ている。
まさか……。
ルナは、考え込んだ。


「確かに、彼は良い人よ。でも、ちょっと……腹黒いというか、何を考えているのか分からないというか」

「最高じゃない!」


トンクスは、恋する乙女の顔をしていた。
止めても無駄だろうな、ルナは思った。
もっとも、止める義理は私にない。






「ルナ、君の思いも分かるが、多少はひかえてくれ。無茶はするな。今はまだ大臣も甘い目で見ているが……」

「ルーファス。随分弱気じゃない」

「君のことを思ってこう言っているんだ。この時期にするべきことと、するべきでないことがある」

「ルーファス」


スクリムジョールは、ルナの面白がっているような目を見た。
ルナは、髪の毛の先をくりくりといじっている。


「貴方の言う「無茶」と私の「無茶」の意見の相違から言及していかないと、事態は貴方の思うようにはいかないと思うわ」






「どうして、スネイプのことが好きなんだ?」

「その質問に何度私は答えたかしら、ブラック」


ブラックは、彼のファミリーネームに顔をしかめた。
ルナは、いつまで経っても彼のファーストネームを呼ばない。
ルナはどうしようもない男相手に、大きく溜息を吐いた。


「まさか、貴方まで私のことが好きだとかいうわけじゃないでしょう? 妙なお節介はもう――」

「好きだと言ったら?」


ルナは顔を上げた。
その表情は、訝しげだ。


「冗談じゃないんだ。ルナ」


ルナはぱんぱんとマントを払って、椅子から立ち上がった。


「ごめんなさい、ブラック」


そう一言はっきりと述べ、ルナはキッチンから出て行った。
ブラックは即行で有無を言う隙もなく振られ、呆然と座っている。






ムーディは壁に寄りかかる。


「それで、何か情報を吐いたか?」

「いいえ。私の記憶のある限りでは」


ルナはベッドに横たわったまま、ゆっくりと頭を回転させる。


「何か状況に変化はあったの?」

「何もない。依然変わらずだ」

「じゃあ……私は、何も話していないかもしれないわね。彼らがすぐに動き出すような情報を、私は持っていたから」


治療されているルナの身体を、ムーディは一瞥し、目を逸らした。






長い接吻が終わった。
ルナは手首を囚われ壁に背をつけたまま、唇を離す。
そして、蒼白な顔にまるで娼婦のような笑みを浮かべた。


「貴方は、もっと激しいものがご所望だったかしら?」






「だから、私は君に無茶をするなと忠告したのに」

「元々分かっていたことよ。それに、これは貴方の忠告と全く関係がないわ」

「――このことは、ムーディは知っていたのか?」

「ええ」

「……」

「ルーファス。これが、貴方とアラスターとの違いよ。彼はこのことに、ものの数日で気づいたわ」


眉を寄せているスクリムジョールの手を取って、ルナはそこに小さく唇を落とした。


「貴方は魔法省大臣なのよ。こんな所でゆっくりしている暇は、ないはずだわ」


スクリムジョールは立ち上がった。
立ち去って行く彼の背後を見つめ、ルナは苦笑した。


「……迷惑かけて、ごめんなさい」

「君に迷惑をかけられるのには、慣れている」




Blood of Phoenix
















(文章は開発中のものです。本編で改変、削除がされる可能性は、100%です)
(ヴァルブルガ・ブラック(ブラック夫人)の件は、舞花様の意見を参考にさせていただきました)
(”Blood”は、好きな感じに訳してくださいね!)

写真素材:013




2009/3/23




||back||